静岡県浜松市でスポーツメンタルコーチングをしています。
MIND CORE代表の喜納将克(きな まさかつ)です。
今回のテーマは『劣等感との向き合い方』です。
=====================
本ブログは、育成年代のアスリートやご両親に読んでいただきたい内容です。一般的に理解されている劣等感には、劣等感と劣等コンプレックスの2つがあり、両者の違いについて簡単にご説明しています。特に「劣等コンプレックス」との向き合い方についての内容ですが、劣等感は何かを基準として自分をジャッジ(評価、判断)していることで生まれます。他人と比べて自分をジャッジすることで、自分の優劣に意識が向きやすく、自分の能力や価値まで下げてしまうのがマイナス思考の本質です。この無意識でやっている思考のクセに気づいて、新しいことにチャレンジできる勇気を持っていいただけたら幸いです。
※ブログの感想や質問をいただけると励みになります。皆様のコメントお持ちしております。
=====================
劣等感と劣等コンプレックスの違い
今回は、自信にもつながる劣等感について考えてみましょう。
劣等感=コンプレックスとして社会的には認知されているかもしれません。特に、見た目(顔や身体のパーツ、身長、髪型、声など)に対するコンプレックスを持っている人はたくさんいますね。五体満足で社会的なハンディキャップ(盲目、難聴、義足、知的障害など)を持っていないにも関わらず、見た目にコンプレックスを持ち、自信が持てないと悩んでいる人達も多くいます。
スポーツでは、自分よりも上手い選手や実績ある選手を見ると、自分と比較してしまい劣等感を感じてしまいます。
そんな中でも、自分で勝負できることを考えて果敢にチャレンジしていく人も居れば、劣等感から緊張や萎縮してしまい自分本来のプレーが発揮できない人もいます。またときに、自分で設定した目標が全く達成できていないと自分の能力を見下してしまい、無力感に襲われることもあります。
実は、劣等感はうまく使えば自分を変える原動力になるし、
過度に劣等感を感じすぎると、成長や挑戦するための勇気をくじくことになってしまいます。
精神科医のアルフレッド・アドラーは劣等感と劣等コンプレックスを分けて考えていました。
劣等感:誰もが持つ自然な感情であり、他者との比較や自分の限界を感じたときに生じます。目標や理想の未来と現実とのギャップから生まれる負の感情を総称して劣等感といっていました。アドラーによれば、劣等感は自己改善の動機となりうる正常な感情であり、劣等感を抱くことで、人は努力し、自己を高めようとする意欲が生まれます。
劣等コンプレックス:「異常な劣等感」で劣等感を過剰に感じている状態とし、自分は他人より劣っていると過剰に信じている状態です。その結果、自己否定や無力感に陥ってしまい、建設的な努力を放棄し、失敗や他人のせいにして問題を避けようとする傾向が強まります。
つまり、アドラーによると劣等感は正常な感情であるが、それを過剰に感じてしまい自分は他人より劣っていると信じたり、自分には価値がないんだと思い込むことで、自己成長を妨げてしまうんですね!多くの人はこれを無意識にやっているので、その状態を自分で選んでいることに気づいていません。
一旦、自分は他人より劣っていると信じ込んでしまうと、無意識の領域で自分の自尊心を守ろうとする自己防衛モードが発動します。この自己防衛モードが発動すると、「上手くいかないのは他人や環境が悪いからだ!」と言い訳をしたり、自分の能力の限界を感じて無気力になったり、自己否定し、責めることで上手くいかないのは自分が悪んだと信じ込ませようとします。
これがネガティブ思考の本質です。
その状態を自分で選んでいると言ったのは、この問題に取り組んで自分を傷つけたくないという痛みの回避を選択しているということです。痛みを回避することで、その問題に取り組まなくて済みますし、自分の心の平和を保つことができます。
嫌なことからは逃げていいんです。
でも、心からやりたいと願っている夢や目標に対して、痛みを回避する選択ばかりしていては、現実は変わっていきません。
必ず同じ問題に直面します。そんな時は一度立ち止まってみて、以下のことを考えてみてください。
・自分に出来ていない部分が複数あるからといって、全てがダメなのでしょうか?
・一度も失敗せずに、成功からしか学んでいない人は世の中にいるのでしょうか?
・全てを完璧にできる人はいるのでしょうか?
答えがNOなら、この先を読み進めてみてくださいね!!
他人の価値基準で自分自身を評価していないか?
さて、ここまで読み進めると劣等感が悪いのではなく、過剰に劣等感を感じている状態(劣等コンプレックス)が自己成長を妨げていることが分かっていただけたと思います。この劣等感というのは、何かを基準として自分をジャッジ(評価・判断)していることから生まれます。
優劣という評価を自分自身に当てはめており、他人に褒められると良い/褒められないと悪い、勝負に勝つことが良い/負けることは悪い、
目標達成できているのが良い/できていないのが悪いといった価値基準を用いている場合がほとんどです。
スポーツでは、勝ち続けている人が正解とする風習があり、勝ち続けている人を評価基準として自分を比べることも多々あります。
自分が勝ち続けている時は自信満々にプレーできていたのに、レベルが上がって急に勝てなくなると、「あれ?どうして勝てないんだろう…」と疑問が出てきます。その勝てない原因を自分の中に見出そうとして、できていな側面に目が向いて「もう私には無理かも」と自分を信じられなくなってしまいます。
これは勝敗という結果を評価基準として、自分をジャッジしているんです。
「勝てない私はダメだ」「自己ベストは私には絶対無理」と無意識の領域で信じ込んでしまうと、チャレンジする勇気がすり減り、怖くなってしまいます。これを自分を制限する信念(リミティング・ビリーブ)と言います。
ここで私がお伝えしたいことは下記の2つです。
1)自分自身をジャッジすることについて。
2)自分を制限する信念(リミティング・ビリーブ)を持っていたらどうするべきか?
1.自分自身をジャッジすることについて
結論から言うと、私は自分をジャッジする意味はないと思っています。人間の価値というのは、何かが優れているから価値があるという優劣を超えたものだと思います。スポーツでは素晴らしい成績でも性格が意地悪な人もいるし、勉強ができても整理整頓や掃除ができない人もいます。人間を一側面だけで価値は測れないし、必ず強みと弱みの両方を持つのが人間です。
優劣の両方を含めて自分であり、生きているだけで愛すべき存在なのです。
スポーツでも常に勝ち続けることはできなくて、アマチュアがプロになれば急に勝てなくなります。
プロがメジャー(海外)に行けば、急に勝てなくなります。レベルが高い選手でも勝てない劣等感や挫折感を味わいながら、それでも喰らいついて自分を成長させながら結果を出しているんです。勝てないという結果の一側面だけで「どうして勝てないんだろう?」と自分を責めるのではなく、何かを変えたり、学んだりするタイミングと捉えて前向きに取り組んでみましょう!
2.自分を制限する信念(リミティング・ビリーブ)を持っていたらどうするべきか?
格下の相手に負けてしまったり、負けが続いていると自分を信じられなくなり、「自分はもう無理かも」という疑問が湧いてきます。
こういったリミティング・ビリーブに気づいた時には、一旦その考え方から離れてみましょう。
「自分には無理だ」という考え方を信じて行動した先に、あなたの幸せな未来は作れるでしょうか?
未来は過去からの延長線にあるのではなく、何も決まっていない真っ白なのです。私たち一人一人がイメージして創造していくものです。
それならば、「どんな考え方を信じて行動するか」が最も大事です!
リミティング・ビリーブに気づいた時は一旦離れて、「この考え方を信じたら、私は幸せになれるのか?」と自問してみてください。
そして、①負けや失敗から学ぶ、②私が心から達成したいゴールに意識を向ける、③小さなステップ(現実的な行動から取り組む)の3つに取り組みましょう。
①私は負けや失敗など上手くいかない時、「試されている」と思うようにしています。
上手くいかないというのは、何かを学ぶ時であり、自分を成長させるフォードバックであると捉えているからです。つまり、神様からの課題と考えていて、夢を叶える気持ちの本気度を試されていると思っています。失敗を振り返り、どうやったら上手くいくのかをゲーム感覚で乗り越えていく方法を考えてみましょう。
②そして、自分が達成したいゴールに意識を集中させてます。
・このゴールを達成したら、どんな気持ちになるだろう?
・どうして、この結果が欲しいのだろう?
このようなことを考えることで、行動する明確な理由と勇気が少しずつ湧いてきます。
③最後に、今すぐにできる現実的なステップを考えてみます。将来の大きな目標に目を向けると、やることが多すぎて今の自分ではできないことも多いですから、今できる1歩を考えて、それに取り組んでいきます。それがどんなに小さな1歩でも構いません。その行動が自分が望む未来につながる行動であり、自分が未来を創っているという感覚が大切なんです。①〜③を繰り返しながら、今の自分にもできることに意識を向けて、成長を続けていきましょう!!
本日も最後までお読みいただきありがとうございました!
今後も、スポーツメンタルに関わる情報をブログで発信していきたいと思います。他のブログも是非お楽しみください!また、コーチングにご興味がある方は、体験コーチングの方にもいらしてください!お待ちしています!!
コメントをお書きください